

昔は、性感染症というと「梅毒」「淋病」など特殊な女性しか罹らない病気というイメージがありましたが、現在では患者の20%が普通の主婦だと言われるほど一般的な病気になってきました。例えば、妊婦さんが赤ちゃんのために検査をしてみたら陽性と分かった、などという形で表面化するわけですが、普通の妊婦さんというのはご主人以外の異性とも性交渉はないし、妊娠中はセックスの回数も減少する、それでも20%という数字が出るのです。そう考えると、10〜30代の女性たちはもっと感染率が高いということになります。
実際にクラミジア※1の検査を受けに来る方も、彼氏の方にお小水が近いとか尿道が痛いとかいう症状が出て性感染症だと分かり、そこで「お前も危ないんじゃない?」と言われて検査に来た、というケースが増えています。それほど女性は自覚症状が出ないものなのです。自覚症状のないことが、危機意識をより希薄にするのでしょう。また、セックスのカジュアル化というのも大きな要因の一つです。中には「あの人もこの人も友達なんだからセックスくらいする」ということで、複数の男性と関係のあるクラミジア患者の女性が、男性の方も複数の女性と関係することで感染が広がり、結局自分のうつした病気が自分に戻ってきたなどという例もあるほどです。
また、「性感染症は怖くない。これは治るものなんだから、罹ったら病院で直せばいい」という感覚も一方にあります。性感染症に罹ると不妊症になる可能性があると言われても、それが大変なことというイメージはなくて、「赤ちゃんは望んだ時に出来ればいいのだから、今はもっと刹那的にセックスを楽しみたい」という気持ちが強いんですね。ですから、カンジダ※2なんかでお薬を出して「4〜5日はセックスしないで下さい」と言うと、「それじゃあ、治療は後にします。明日から彼と旅行に行くので」という女性がけっこう居ます。
こうした状況の中で、性感染症の感染率が高まっているのは当然の結果といえますし、むしろ、統計として表面に出ている数字は、本当に氷山の一角という気がします。
※ 1クラミジア
細胞に奇生するクラミジア・トラコマチスという微生物が原因になって起こる。放置すると子宮内膜炎、卵管炎などを引き起こし、不妊症・子宮外妊娠・流産などの原因となる。
※ 2 カンジダ
カビの一種であるカンジダ・アルカンビスに感染することで起こる。外陰部に激しいかゆみがあり、症状が進むと外陰炎になり、赤く腫れ上がる。



